カメムシ大量発生の原因と今すべき対策

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強烈な臭いを放つカメムシは不快害虫として嫌われがちです。洗濯物にカメムシがついて困った経験がある方も多いでしょう。カメムシは大量の卵を産むので、卵の孵化を防ぐことが効果的な対策となります。本記事では、カメムシの対策について詳しく説明します。

1.カメムシとは?
2.カメムシが大量発生する理由
3.カメムシの強烈な臭いの原因
4.カメムシの臭いがついた場合の対処法
5.カメムシの卵が見つかる場所
6.カメムシ対策
・カメムシほいほい捕獲器
・ハッカ油を使った忌避剤
・トウガラシを使った忌避剤
・木酢液を使った忌避剤
7.朝顔にホオズキカメムシ
8.まとめ


1. カメムシとは?

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カメムシは、クサギカメムシやアオカメムシなど多くの種類が存在し、全世界で約40,000種、日本国内で約1,300種が知られています。名前の由来はその姿が亀に似ていることにあります。カメムシはストロー状の口(口吻)を持ち、前肢が水平になる構造で、膜質物と革質物に分かれます。色は黒色、緑色、茶色などがあり、模様がある種類も存在します。1度の産卵で、白や黄ばんだ卵を約100個産みます。


2. カメムシが大量発生する理由

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左:チャバネアオカメムシ 右:ツヤアオカメムシ


現在、大量発生しているのは「チャバネアオカメムシ」や「ツヤアオカメムシ」です。これらは農作物に被害をもたらします。

チャバネアオカメムシ: 緑色の体で、茶色の翅。体長約10mm。
ツヤアオカメムシ: 全体が緑色で、ツヤのある体が特徴。体長約15mm。


カメムシの大量発生の原因の一つは、産卵サイクルにあります。カメムシの寿命は約1年半で、その間に何度も産卵を繰り返します。通常、4月ごろに繁殖期を迎え、5月下旬から8月にかけて産卵します。産卵後、卵は約1週間から10日で孵化し、次世代のカメムシが生まれます。

カメムシはヒノキやスギなどの樹木に産卵します。親世代はそこで生涯を終えますが、卵から孵化したカメムシはヒノキやスギの実を食べて成虫に成長します。そのため、ヒノキやスギの実が豊富に実った年は、エサが豊富であるため、カメムシが大量に発生する原因の一つとなります。特に、ヒノキやスギの実が多くなる年は、カメムシの食糧が増え、それが大量発生につながるのです。

さらに、近年の暖冬もカメムシの大量発生に影響を与えています。通常、寒い冬にはカメムシの個体数が減少しますが、暖冬が続くと多くの個体が越冬し、生き延びることができます。これにより、春から夏にかけて大量のカメムシが発生しやすくなります。特に暖冬が続くと、越冬したカメムシの数が増え、それが翌年の大量発生の一因となります。
このように、カメムシの大量発生は産卵サイクル、エサの豊富さ、暖冬などの複数の要因が絡み合って起こります。


3. カメムシの強烈な臭いの原因

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カメムシは危険を感じると足の付け根から強い臭いを放ちます。これは外敵を追い払うための防御策です。悪臭の主成分は不飽和のアルデヒド類で、他の化学物質も含まれます。この臭いは同種の仲間との情報伝達や外敵への警報として機能します。実は、全てのカメムシが臭いを放つわけではなく、一部の種は人間の嗅覚では気づかない臭いを出します。


4. カメムシのニオイがついた場合の対処法

対策

カメムシのニオイの原因成分は、水にとけにくいが、油に溶けやすい性質があります。
・手に臭いがついた場合:サラダ油やオリーブオイル、アルコール消毒液、化粧のクレンジングで洗ったあと、石鹸で洗うと効果的にニオイが取れます。
・洋服や布製品についた場合: 水と中性洗剤で洗い、スチームアイロンで熱処理する。
・専用のスプレー: ニオイを取り除く専用のスプレーや除菌消臭剤を使用する。


5. カメムシの卵が見つかる場所

ベランダなどの日当たりの良い場所や暖かい場所に注意が必要です。カメムシは白色や薄い色を好み、洗濯物や白色の外壁などにも産卵します。またプランターで育てているナスやトマト、ピーマンなどの植物にも注意が必要です。またエサとなるスギやヒノキの実が不作の年は、果樹園周辺で確認されていますので注意が必要です。


6. カメムシ対策

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最も有効な対策は発生を防ぐことで、卵の段階で駆除することが最も効果的です。定期的なチェックと適切な対策を講じることで、カメムシの被害を大幅に減らすことができます。
産卵期はとくにベランダや周辺の整理整頓をし、洗濯物や生活空間に侵入しないよう心がけましょう。
もしカメムシを見つけた場合は、市販で売られているカメムシ専用の殺虫剤の購入を検討してみるのもよいでし、また自宅でも簡単に作成するカメムシ捕獲方法もあります。

簡単に作成できるカメムシ対策
カメムシが逃げる際に下に落ちる性質を利用した「カメムシほいほい捕獲器」
カメムシは気孔という穴から呼吸するため、洗剤がその穴をふさぐため、窒息死するという仕組みです。
用意する物・空のペットボトル・ハサミやカッター・テープ・石鹸水や食用洗剤

ペットボトル
➀空のペットボトルを用意し、ハサミやカッターで3分の1を切り取る。
➁切った部分をひっくり返して、ペットボトルにはめ込み、テープで固定する。
③ペットボトルの中に石鹸水や食用洗剤を入れる。

ペットボトル

ハッカ油を使った忌避剤

ペットボトル
カメムシはミントやハッカのニオイ成分が苦手です。スプレーもよいですし、忌避剤として鉢植えのミントを置くのもおススメです。
用意する物:ハッカ油10~15滴・無水エタノール10ml・水道水90ml・スプレーボトル
➀ハッカ油10~15滴、無水エタノール10ml、水道水90mlを混ぜ、スプレーボトルに入れる。
➁洗濯物や網戸などにスプレーする。
※ハッカ油はプラスティックを腐らすことがあるため、スプレーボトルはガラス製にしましょう。ポリプロピレン製、ポリエチレン製、ポリエチレンテレフタレート製はプラスティックは腐りません。

スプレー

トウガラシを使った忌避剤
用意する物:唐辛子 10本~15本・アルコール度数25度以上のお酒、アルコール可スプレー、瓶
➀輪切りにした唐辛子とアルコール度数25度以上のお酒を瓶に入れる
➁1カ月以上つけておいた唐辛子エキスを水で300倍に薄める
③アルコール対応のスプレーに入れる
唐辛子スプレーは刺激が強いため、目に入らないようにしましょう。また唐辛子そのものをみかんネットなどの袋に入れて、ベランダに吊るすのも効果的です。

木酢液を使った忌避剤
用意する物:木酢液、ペットボトル、水
➀木酢液と水を1:1でしっかり混ぜます。

➁➀で作った液体をペットボトルに入れ、ベランダ等に数か所置きます。


7. 朝顔にホオズキカメムシ

ホオズキカメムシ

ピーマンなどナス科の害虫として知られるホオズキカメムシが、我が家の育てていた朝顔に発生していました。「カメムシほいほい捕獲器」「ハッカ油を使った忌避剤」を使用し1度駆除できましたが再発生しました。ホオズキカメムシが大量に発生していたため、市販のカメムシ専用スプレーを使用しました。カメムシの数が多い場合は、専用のスプレーを使うこともお勧めします。

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▲ホオズキカメムシの卵


7. まとめ

チャバネアオカメムシ

これらの対策を実践することで、カメムシの被害を防ぎ、快適な生活環境を維持することができます。季節ごとに異なるカメムシの習性を理解し、適切な対応を心掛けましょう。皆様の生活がカメムシの被害から解放され、より快適なものとなることを願っています。