「病害虫発生予察情報」とは水稲や果樹などの農産物に被害を与える、病害や害虫などの状況を発表するものです。度々、そこで注意喚起されるようになったモモヒメヨコバイの被害についてまとめました。
モモヒメヨコバイとは
モモヒメヨコバイの生息地
モモヒメヨコバイの被害
モモヒメヨコバイの防除対策
モモヒメヨコバイとは
モモヒメヨコバイは、ウメやハナモモなどのバラ科果樹に寄生する昆虫で、国内で はその他にも、モモ、スモモ、アンズ、オウトウ、ハナウメ等を加害することが報告されています。海外では上記以外にナシ、リンゴ、サンザシ、 ポポー、ポプラ等への加害も報告されています。
モモヒメヨコバイの幼虫は薄い黄色で、成長すると成虫と同じ黄緑色になります。成虫の体長は3~3.5mmです。眼は黒色で、おでこに黒点があり、セミのような形をしています。成虫になり羽根が生えてくると、畑や灯りに飛来し、大量に群がります。
モモヒメヨコバイの生息地
モモヒメヨコバイは台湾や中国南部からやってきた、新たな害虫です。新種のためしばらくは和名がなく、「Singapora shinshana (Matsumura)/ヨコバイ科の一種」と表記されていましたが、2020年に「モモヒメヨコバイ」と日本植物防疫協会が命名しました。
この和名は、寄生する植物の一つであるモモと、小型で美しい色彩から「姫」、そしてヨコバイ科に属するため、「モモヒメヨコバイ」とつけられました。2019年に梅の名産地である和歌山県の田辺市やみなべ町で被害が確認さて以降、爆発的に生息域を広げています。2023年9月には長崎県でもモモヒメヨコバイの発生を県内で初めて確認し、本州、四国、九州の計21都府県と全国へと広がっています。
モモヒメヨコバイの被害
モモヒメヨコバイの成虫と幼虫が葉面に寄生し、吸汁することにより葉色が徐々に薄くなっていきます。そして、葉全体が吸汁されると白化します。発生が著しいと落葉を引き起こすやっかいな害虫です。人に直接危害を及ぼすことはありませんが、寄生されると生育や収穫量に響くだけではなく、植物の美観を損なうことによって、景観にも影響を及ぼします。
モモヒメヨコバイの防除対策
2022年からモモヒメヨコバイに有効な薬剤の研究や、被害抑制に向けた技術開発が始まりましたが、登録のある薬剤は劇薬であり、あまりにも高価であるため、家庭では簡単に使えません。発生初期であれば寄生された葉を見つけ次第除去し、適切に処分することが効果的です。
まとめ
モモヒメヨコバイ発生が多くなるのは5~6月と猛暑が過ぎた9月~10月です。早期発見に努めて、確認次第、葉ごと除去してください。また、葉が密集していると発生に気づきにくくなるので定期的な剪定で清潔に保つことと、日頃の観察が大切です。