冬の寒さに負けずに花を咲かせる「サザンカ/茶梅/ sasanqua」

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サザンカは冬に貴重な花が楽しめる常緑樹で、生垣や目隠しなど古くから愛されてきた親しみのある花木です。また、ラジオ小国民で詞が発表された童謡「たきび」には「さざんか」が歌詞に使われているほど日本人には幼少のころから馴染み深い花でもあります。

サザンカ特徴
サザンカの種類
サザンカのお手入れ
サザンカの植栽
サザンカの病気
サザンカの小ネタ
まとめ


サザンカ特徴

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「茶梅」と書いて、サザンカと読みます。一 般には「山茶花」と書かれますが、中国では「山茶」は「ツバキ」のことを指します。本州でみられる、薄紅色やピンク、ぼかしなどのサザンカはほとんどが栽培品になります。野生のサザンカは白色の一重咲きで、葉はツバキより小さく、 新枝の葉柄と主脈に添って、毛が生えています。ツバキには、毛がありません。 また、花弁も一枚一枚が離れており、雄しべが大きく開いて、子房に毛があるのが特徴です。サザンカとツバキはどちらもよく似ていますが、見分け方としてサザンカはツバキとは違って、花に香りがあることと、花びらがパラパラとわかれて落ちるところです。サザンカは300種ほどの様々な園芸品種がありますが、開花時期や咲き方などからサザンカとハルサザンカ、カンツバキの3つのグループに大別されます。

サザンカと椿

サザンカの種類

江戸時代から多くの品種がつくりだされ、明治時代には、100種余りにも達し、古くから日本で親しまれてきた花です。現在では見られなくなった品種もありますが、代表的なものをあげると次のものがあります▼

七福神 (シチフクジン) 快童丸(カイドウマル) 東雲(シノノメ)
花は紫紅色の大輪で、半八重咲きです。樹性は強健で生育は早く、花つきが良いのが特徴です。 白にピンクのぼかしがはいり、美しいみごとな花です。大輪で、花弁の厚さが普通のサザンカよりわずかに厚く、花弁にしわがないのが特徴です。 淡桃色の大輪で、上品な江戸情緒を感じさせる品種です。香りを楽しむこともできます。
根岸紅(ネギンコウ) 丁字車(チョウジグルマ) 御美衣(オオミゴロモ)
紅花の代表的な品種で、庭木としてよく栽培されています。 花は中輪の一重咲きで、丈夫な木です。 花びらの中に黄色の雄しべが大きく開き、正統派の印象です。 淡ピンクの中輪花が手まり状に咲きます。上向きに花がつく楽しい花です。切り花や鉢物としても使われています。 一重咲きの中輪花。白に紅のぼかしがはいる花色で、外弁の裏は色が濃いです。花期が早いことから、切り花にも使われます。

ツバキに似ている品種に、カンツバキの系統のものや、乙女咲きの品種など次々と新しいものが誕生しています。また、本来は日本の花木であった品種が、 近年、外国での品種改良が行われるほど世界でも人気があります。

八重咲きの品種▼

飛竜(ヒリュウ) 乙女(オトメ) 緋乙女(ヒオトメ)
別名星飛竜とも呼ばれています。花は緋紅色に白の斑がはいる八重咲きで、 花期は遅く、2月下旬ごろに見ごろを迎えます。 淡ピンク色で重なった花びらが華やかな種類です。葉は小さく、花径は5~7cmで、花付きがよいです 。 乙女に似た品種ですが 花期が早く、10月上旬~中旬に咲き、 12月ごろまで花がもちます。
笑顔(エガオ) 寒椿(カンツバキ)
八重咲きの代表的品種といえます。ザンカとツバキの自然交配品種で、 大輪の深紅色の花弁は、パラパラと散ります。 花は淡紅色で、サザンカの変種です。冬じゅう咲きつづけます。関西や名古屋地方で多く植えられ、 獅子頭(シシガシラ)とも呼ばれています。

サザンカのお手入れ

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サザンカの花の開花時期は10月~12月頃です。花の終わった頃に剪定を行いましょう。そのときは強く刈り込まないようにし、 本格的の剪定は5月上旬にします。8~9月に枝が密に混んでいる場合は枝抜き剪定をしましょう。サザンカは肥料が足りなくなると、枝や花芽の生育が悪くなるので、冬期間中に、根の周辺に有機肥料を与えてみてください。根元近くに施肥すると肥料負けするので、根元から離して施肥することがポイントです。5~6月には、リン酸肥料を根元全般に散布して耕すと、効果的に花芽をつけ、元気に育ちます。


サザンカの植栽

腐植質の多い土がよく、乾燥や乾湿の激しい土は好みません。植える場所は、午前中は日当たりがよく、午後3時以降には日陰になる場所がベストです。秋に開花が始まるサザンカは、冬の冷たい風には苦手です。北風が当たらない場所を選んで植えつけてあげると安心です。

サザンカはさし木によってふやします。さす時期は、関東地方では9月の上旬頃がよく根付きます。フレームや温室がなければ、挿し木は鉢植えにするようにし、暖かくて寒乾風に当たらない場所に冬の間は移動できるようにしましょう。越冬させ、4~5月ごろに移植します。 苗で購入した場合もこの時期に植え付けるようにしましょう。腐土と庭をよく混ぜた床土に、さし木用土を加えて移植します。 さし苗は、3年で60cmぐらいになり、庭に植えて、2~3年で花が咲きます。


サザンカの病気

チャドクガの防除が重要になります。発生期の5月下旬と7月下旬に薬剤を散布して防除してください。


サザンカの小ネタ

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野生のサザンカは四国、九州の山中、沖縄諸島に野生し、白い花が咲きます。その中でも佐賀県にある千石山にはサザンカの自生林があり、そこを自生北限地帯として国の天然記念物に指定されているほど見事なものです。約2.9haに2208 本のサザンカが群生し、10月中旬から11月中旬の開花時期には花で白く彩られた山は見事です。


まとめ

サザンカ・ツバキは古くから多くの人に愛されてきた花木の一つで、それぞれに個性があります。可愛らしいピンクや、真っ赤なサザンカは冬の殺風景なお庭に彩を添えてくれます。寒さにも強いので、冬の花として楽しむことができます。

サザンカカレンダー

日本庭園に欠かせない「椿(ツバキ/camellia)」