自分と向き合い気付きを生む「内観」(QG通信2017-2018年冬号vol.02掲載)

好きに書いてスミマセン-02

今回は、当社で取り入れている「内観」について書きます。全国各地に「内観研修所」という施設があります。研修期間は1週間の場合が多く、研修中は電話などの通信機器を預け、外部と連絡を断ちます。研修生は挨拶を含めた会話が禁止され、メモを取ることや新聞・読書・テレビも禁止されます。

内観研修のやり方はいたって簡単です。母親に【お世話になったこと】【してお返ししたこと】【ご迷惑をかけたこと】の3つを、生まれてから現在まで、3~5年ごとに区切って約2時間ずつ思い返しながら調べます。2時間ごとに面接員が来てくれて調べたことを聞いてくれます。言いたくないことは言わなくていいんです。これを1日に10回ほどくり返して、母親が終わると父親、母親と父親の2回目、兄弟姉妹、配者やその親、子どもなど、調べたい人について調べます。では、何のためにこんな研修をするのでしょうか?それは、いつもの自分の考え方ではなく、「内観」の手法で考えてみることで、物事を客観視できるようになるからです。

一例を挙げましょう。ある植木カットデザイナーが、お約束の見積り日よりも一日早くうかがえることになったため、事前にお電話してうかがいました。しかしその晩、そのお宅のお嫁さんから「もう二度と来ないで!」という、ひどくお怒りのお電話が来ました。カットデザイナーは「一日でも早くうかがおうと思ったのに、どうして私が怒られるんですか!」と、こちらもプンプンです。そんなとき、当社では内観をしてもらいます。

【お客様にお世話になったこと】「お見積り依頼をいただけました」、【してお返ししたこと】「一日早く行ってあげました」、【ご迷惑をかけたこと]「…」。3つ目がなかなか出てきません。なぜなら、早く行って「あげた」と思っているからです。ところが、もう一度調べると最初にお約束したのは『お嫁さん』でしたが、「一日早くうかがいます」という電話に出たのはお嫁さんの『お義父さん」だったと思い出します。そして、お嫁さんとお約束したときに「うちには頑固なおじいさんがいるけど、何か言われても気にしないでね」と聞いていたのです。この事実に気付くと、ご迷惑をかけたこと】が出てきます。

―頑固なお義父さんと直接話して欲しくなかったんじゃないか?
―懇意の植木屋さんがいるのに内緒で頼んだことがバレちゃったんじゃないか?

このように、最初は理不尽だと感じたお客様の反応が、内観によってまったく違って見えることがよくあります。このカットデザイナーは、最初のお約束をお嫁さんとしたなら、変更もお嫁さんとしないとトラブルになるという、いってみれば当たり前のことに気付きました。でも人って、当たり前のことに気付かないで失敗をくり返すことがよくあるんですよね。何を隠そう、私がそうですから。

お客様と「植木屋革命」クイック・ガーデニングをつなぐコミュニケーション誌 クイック・ガーデニング通信 2017-2018年冬号vol.02 ,株式会社クイック・ガーデニング,2017年12月31日発行,4ページ