出物腫れ物、所嫌わず(QG通信2021-2022年冬号vol.18掲載)

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子供の頃から胃腸が弱かったのです。神経性胃腸炎というらしいです。試験になると決まってお腹を壊していました。試験中にトイレに行くのが恥ずかしく、ギリギリまで我慢していたので、小学校時代の鉛筆には爪の痕が付いていました。中学校の先生には、「渡辺、トイレで煙草吸ってるんだろう」と言われました。「試験になると、お腹が痛くなって」と言うと、『お前がそんなに繊細な訳ないだろ!』と怒られました。

そんな事、長い間忘れてました。トイレの個室も、いつからか平気になりました。でも先日久々にピンチを迎えました。大学時代、同じアパートに住んでいた同級生2人と久々にゴルフをしました。この日はすこぶる調子が良く、「さすが社長! ゴルフ上手いね!』なんてからかわれながらも、内心ウキウキでプレーしていました。あと2ホールとなった終盤、急に腹痛が襲ってきました。でも、「あと2ホールだし、大丈夫だろう』と楽観視していました。『今まで何度もこの波を乗り越えてきた、今回もきっと大丈夫・・』しかし、久々にきた波は、思ってもみない程のビッグウェーブ(大波)でした。

作画:塩田りさ

作画:塩田りさ

あんなに上機嫌でプレーしていたのに、急に無口になる自分。素振りもせずにサッと打ち、打った後にウロウロ歩き出す挙動不審さ。余計な力が抜けているからか、不思議と『ナイスショット!』の声。グリーンに乗ったボールはラインも読まず、投げやりに打ったパターは10メートル転がり、なぜか「カラン!」とカップに沈んだ。『ナイスパー!』の声はもうどうでもいい。カップのボールもしゃがみ込むと危険なので、取らずに放置しました。

このゴルフ場は海沿いのリンクスコースで、隠れる林がありません。上の設備小屋が目に入った時には、 もうベルトを外しながら無意識に土手を登っていました。土手を登り切り、目の前に現れた光景を見て、万策尽きました。何と小屋の横は、次の最終ホールのティーショットエリアだったのです。前の組の女性3人組がビックリして私を見ていました。『体調が悪くて。スイマセン・・」なぜかこの3人組に謝った後、この組を追い越し、1人内股でクラブハウスに向かってテクテクと歩き始めました。

この日のスコアカードは、最終ホールが空欄のままでした。同級生 2人は『またやろうよ」と言って笑ってました。 出物腫れ物、友(とも)は嫌わず。

お客様と「植木屋革命」クイック・ガーデニングをつなぐコミュニケーション誌 クイック・ガーデニング通信 2021-2022年冬号vol.18 ,株式会社クイック・ガーデニング,2021年11月30日発行,6ページ