カットデザイナー10訓(QG通信2018-2019年冬号vol.06掲載)

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当社は今年、設立15周年を迎えることができました。これもひとえに、お客様、お取引先様お一人おひとりのお陰でございます。心より御礼申し上げます。

当社は設立2年目くらいまで、ユニフォームはなく、ヘルメットを被るよう適切な指導をしておらず、とにかく売上を上げればいいと思っていました。そんななかでも、軽トラックにだけは会社名とフリーダイヤル、そして『植木屋革命』と書かれたマグネットシートを貼り付けていました。

それで街中を走れば、いい宣伝になると思ったからです。

あるとき、植木カットデザイナーの家に行くと、軽トラックのマグネットシートがはがされていました。本人に聞くと「あなた植木屋さん?」と近所で声を掛けられるのが煩わしいと言うのです。でも、作業現場に行くとマグネットシートはちゃんと付いています。

要は、隣近所に自分が植木屋になったということを知られたくなかったのです。

創業当時の軽トラック

創業当時の軽トラック

当社のカットデザイナーの約6割は元サラリーマンです。サラリーマン時代には、部下を何十人も抱えていた者もいます。そうした経歴をもつカットデザイナーからすると、植木屋になるということは『なんか恥ずかしい』のです。

お客様に直接「ありがとう」と言われ、町の景観を整え、何よりお天道様の下で汗をかく、健康的な素晴らしい仕事だと自分でわかっているのですが、『なんか恥ずかしい』のです。何を隠そう、かつての私がそうでした。

ちょっと前までスーツにネクタイ姿だったのが、急に『植木屋革命』と大きく書かれたマグネットシートを貼った軽トラックでマンションに帰るようになりました。すると、住民の目が気になり『なんか恥ずかしい』のです。家の前でシートをはがすカットデザイナーは、かつての自分の姿でした。

私は自問自答し、『恥ずかしいなら辞めれば?』と自分に言い聞かせて、『植木屋革命』とでかでかと背中にプリントしたユニフォームを作り、山手線の満員電車に乗りました。最初はジロジロ見られて恥ずかしかったのですが、そのうち、『恥ずかしいってことは、皆に見られているということで、いい宣伝になってるんだ!』と思えるようになりました。でも、サラリーマンの垢(あか)が消えるまで1年は掛かりました。

私は、カットデザイナー達と『どんなカットデザイナーを目指すのか』何度も議論しました。その結果できたのが『カットデザイナー10訓』です。

15年経った今でも、皆で唱和しています。ちなみに、今では『なんか恥ずかしい』って思っている者はいません。

カットデザイナー10訓

引用元:お客様と「植木屋革命」クイック・ガーデニングをつなぐコミュニケーション誌 クイック・ガーデニング通信 2018-2019年冬vol.06 ,株式会社クイック・ガーデニング,2018年11月30日発行,4ページ