「イチョウ(銀杏)」と聞いて、特徴的な扇形の葉をパッと思い浮かべられる方は多いですよね。広く知られるイチョウですが、じつは思い違いをされていることがあれこれあります。イチョウについての誤解をひもといていきましょう。
イチョウの特徴
雄木と雌木がある雌雄異株(しゆういしゅ)の樹木です。実がなるのは雌木のみ。近くに雄木があると花粉が風にのって運ばれて、受粉し実を付けます。春に受粉した雌花は花後に種子を付け、秋になると熟して落ち、ニオイを放つのです。
イチョウは広葉樹ではなく針葉樹
黄色く色付いたイチョウの葉が落葉する様子は、まさに“秋”の代名詞ともいえます。いっけんすると落葉性の広葉樹のように見えますが、イチョウは「広葉樹」ではなく「針葉樹」の仲間に分けられます。植物の分類学では、葉よりも種の特徴が重要で、広葉樹は「被子植物」、針葉樹は「裸子植物」というグループになります。イチョウの種を詳しくみてみると裸子植物の特徴を備えているのです。
実ではなく皮に包まれた種
イチョウの実であるギンナンは種が果実に包まれているように見えますが、あの黄色い実に見える部分は果実ではありません。種の外側の皮が液状に肥大したものです。皮を除くと種になる部分がむき出しになるので、裸子植物に分類されます。ギンナンとして食べている部分は種の内部「胚乳」と呼ばれる、種が発芽するとき栄養になる部分なのです。
生きた化石と呼ばれるイチョウ
太古の化石が世界中で発見されており、現在の姿と大きな変化がないことから、「生きた化石」と呼ばれています。イチョウは生命力が強く、1000年の樹齢を超えることもあります。一説によると、約3億年前にイチョウが地球上に表れ、約1億3500万年前まで続いたことが化石から判明されています。恐竜が栄えた時代には存在し、「ぎんなん」を皮ごと食べていたため、フンと一緒にあちらこちらにばらまかれ、さまざまな場所で繁殖されました。約2億年前には世界中にたくさんの種類が分布していたと考えられています。
絶滅の危機からの復活
地球の気候変動により、ほとんどの種が絶滅し、中国大陸で1種類のみ生き残りました。中国の宋の時代に薬用や食用として栽培されるようになり、鎌倉時代に日本に仏教とともに伝わったそうです。その後江戸時代に長崎で博物学者ケンペルが初めて「ぎんなん」を食べたことをきっかけに、ヨーロッパに伝わったそうです。
東京都のシンボルマークはイチョウではない
東京都のシンボルマークは、緑の扇形がイチョウの葉を連想させますが、「東京都の頭文字であるTをデザインしたもの。イチョウではありません」と東京都が公式に否定したことがあります。東京都の木がイチョウであることから、扇形がよりイチョウに見えたのかもしれませんね。
復興のシンボル
イチョウの葉は他の樹木に比べて水分量が多く、火災時に延焼を防ぐ効果が期待され、街路樹にも多く植栽されてきました。1923年の関東大震災でも生き残ったイチョウが東京都千代田区大手町生に残っています。そのため復興のシンボルとなり「震災イチョウ」と呼ばれていました。
イチョウの種子「ぎんなん」は強烈な臭い
「ぎんなん」のニオイの成分は「酪酸(らくさん)」「エナント酸(別名:ヘプタン酸)」の2つです。「酪酸」は人間の皮脂に含まれており蒸れた足のような臭い、そして「エナント酸」は腐った油の臭いのような腐敗臭を発します。そのため強烈な臭いからニホンザルでさえ食べないようです。
「ぎんなん」は美味しいけど・・・
「ぎんなん」は滋養強壮、抗利尿作用があり、中国ではスタミナ食として食べられてきました。日本では頻尿、夜尿症の民間療法に取り入れられるなど活用されています。また食べ過ぎると中毒を起こすこともあるそうなので、注意しましょう。
成長すると30mもの高木になるイチョウですが、幼木のうちから必要に応じで剪定すれば、ある程度大きさを管理することはできます。芽が出た直後4月~5月ごろさえ避ければ、いつでも剪定可能ですが、冬期のお手入れが最適期です。萌芽力が抜群なので強剪定にも耐えられます。大きくなりすぎたイチョウはお手入れに危険が伴いますので、大きさを管理するために定期的なお手入れをおすすめいたします。
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