近年の気候変動により、各地で大雨や短時間強雨、強風の発生頻度が増加傾向にある日本。温暖化防止の効果も高く、強風から家屋を守る役割もある庭木ですが、なかには強風が苦手な樹種もあります。強風が苦手な樹種と倒木を防ぐ対策などをご紹介します。
強風が苦手な木
犬が犬種によって特性があるように、木にも樹種によって特性があります。低い木、高い木。一本立ちの木、株立ちの木。根が浅い木、根が深い木。風に強い木、弱い木。それぞれの特徴を知って植える場所を考慮しましょう。
いろいろな特徴があるなかで、強風が苦手な樹種をあげると「ゴールドクレスト」などのコニファー類や「ミモザ」「オリーブ」「ユーカリ」などです。
もともと海外の気候が安定した土地で育った樹木は、風に強くないようです。逆に昔から台風に耐えてきた日本在来種は比較的強風に耐えられる樹種が多いといえます。
強風が苦手な木の強風対策
強風が苦手な木の枝葉が密になっていると風通しが悪くなるだけでなく、上部が重くなります。風を逃すために定期的に剪定をして透かし、風通しをよくしましょう。
支柱を設置するのも対策の一つです。ただし、しっかり幹や枝を固定しすぎるとかえってそこが支点になって強風で折れる場合があります。ある程度の揺れは許容して、一点にかかる力を逃す工夫も必要になります。
また樹木はよくできたもので、風で揺れるほど支持根は発達します。過保護に育てるより世間の荒波に揉まれた方がたくましくなるのは人間と同じかもしれませんね。
キノコには要注意
数十年から数百年、環境や樹種によっては数千年も生きる木。しかし、キノコが発生しているときは要注意です。幹や根の木部の腐朽がかなり進行している証でもあり、風による倒木や幹折れのリスクは高くなります。
木は樹皮の下の形成層で生きているため、木部が腐っても樹勢が衰えることがなく、表面上は元気そうに見えます。大切な庭木にキノコが生えているのを見つけたら注意しましょう。
内部が腐朽している可能性のある木を見付けたら、すぐに対処が必要です。樹冠を軽くして重心を下げたり、風を逃すための透かし剪定をしたりしましょう。
万が一倒れた場合でも周囲の影響を最小限に食い止めるために、思い切った切り戻し剪定もときには必要です。そして、できれば樹木の生命力を高める(腐朽の進行を抑える)ために土壌改良もセットで行うことをおすすめします。
大切に育てている庭の木々が、ある日突然倒木なんてことにならないように、適切なお手入れをしましょう。
【協力】
クイック・ガーデニング 植木カットデザイナー
石井 修二(いしい しゅうじ)
〈資格〉樹木医・松保護士・森林インストラクターほか
「植木屋革命」クイック・ガーデニングではお庭のお手入れを承っております。お気軽にご相談ください。
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