クスノキ科の常緑高木「ゲッケイジュ(月桂樹)」。乾燥させた葉は香辛料として料理に使われ、「ローリエ」の名でも知られます。生垣や庭木としても育てやすく、ハーブとしても活用されるゲッケイジュをご紹介します。
ゲッケイジュは勝利の象徴
ゲッケイジュはギリシャ神話に登場する太陽神アポロンの聖樹としても知られています。古代ギリシアでは、ゲッケイジュの若枝を編んでつくる「月桂冠」を勝者や優秀な者に与えたことから、勝利の象徴とされています。また、このことから「勝利」「栄光」「栄誉」などの花言葉がつけられました。
ゲッケイジュの冠といえば、マラソン大会の勝者に贈られるイメージがありますが、アポロンは文化芸術の神であることから本来、月桂冠は詩人や文人などへ文化的な功績を讃えて贈られるものとされています。
いっぽう、オリンピックなどスポーツの分野で勝者に贈られるのは「オリーブ」の冠です。
ゲッケイジュの魅力
地中海沿岸を原産とするゲッケイジュは、明治38年ころ日本に渡来したといわれます。日本の気候によく馴染み育てやすく、一年をとおして光沢のある葉を楽しめます。
耐暑性、耐寒性があり刈り込みにも強く、形を仕立てて楽しむシンボルツリーや生垣におすすめの樹木です。また耐潮性があるので海岸沿いの庭木にも最適です。
ゲッケイジュは5月ころ、淡い黄色の小さな花を咲かせます。雄花と雌花が別の株に付く、雌雄異株(しゆういしゅ)の樹木で、雌株には秋に紫黒色に熟したオリーブに似た実が付きます。
葉は古くからハーブとしても用いられ、揉むと芳香し、乾燥させるとさらに香りが強くなります。「ローリエ(ローレル/ベイリーフ)」とも呼ばれ、煮込み料理に香りを付ける香辛料として広く利用されています。
ゲッケイジュのお手入れ
成育旺盛で芽吹く力がとても強いゲッケイジュは、刈り込みにも強く育てやすい反面、放任すると枝葉が込み合います。そのため、美しい樹形を保ち、病害虫予防のために年2回ほど剪定することをおすすめします。
常緑樹の剪定可能時期は猛暑期と冬期を除いた、3月~7月中旬と9月中旬~11月初旬。太い枝を短く切りつめる強剪定をするときは、4月~5月初旬の最適期に剪定するとよいでしょう。
半日陰や日陰でも育ちますが、日当りや風通しが悪いと「カイガラムシ」が発生しやすくなります。他に「ハマキムシ」や「うどんこ病」の被害にも注意が必要です。5月~6月ころに被害が発生しやすいので、剪定とあわせて消毒で予防することをおすすめします。
育てやすく、お庭に植えればハーブとしても利用価値が高いゲッケイジュ。お手入れで管理して、健やかに育てましょう。
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【Before&After】