カイヅカイブキはヒノキ科ビャクシン(イブキ)属の植物で、一般的なイブキと比較して葉が柔らかく、鱗状の鮮やかな緑色の葉が特徴のひとつです。光沢のある葉は冬も変色しません。刈り込みにも強く、大気汚染にもよく耐える性質から生垣に用いられるお馴染み庭木です。
カイヅカイブキ(ビャクシン/イブキ)の特徴
ヒノキ科ビャクシン属(イブキ)の種類
カイヅカイブキのお手入れ
カイヅカイブキの施肥
カイヅカイブキの植栽
カイヅカイブキの病害虫
まとめ
カイヅカイブキ(ビャクシン/イブキ)の特徴
ヒノキ科のビャクシン属は別名イブキとも呼ばれます。常緑の小高木で細い針状の葉が三葉輪生すもの(スギ型)と、魚の鱗のような鱗片葉(りんべんよう)が交互に対生するもの(ヒノキ型)と2種類あります。 別種のように思えますが、これは枝の変異性であり園芸品種も非常に多くあります。一般に庭に植えられているものには、 カイズカイブキ、タマイブキ、タチビャクシン、シンパク、スカイロケット、ハイビャクシンなどがあります。その中でも、カイヅカイブキはビャクシンの変種として、人気です。葉は鮮緑で柔らかな鱗状葉で、主幹はよく伸び、側枝は渦巻き状の美しい円錐形の樹姿を自然につくります。樹高は通常6~7mですが、暖地では20m近くまで育つものもあり、大きくなりすぎたカイヅカイブキを見かけることも多々あります。この類は日照を好み、日陰地では生育が悪いのが共通です。
ヒノキ科ビャクシン属(イブキ)の種類
ヒノキ科にはヒノキ属、ビャクシン属、クロベ属、アスナロ属、ホソイトスギ属があります。ビャクシン属の園芸種には次の物があります▼
玉伊吹(タマイブキ) | 立柏槇(タチビャクシン) | 真柏(シンパク) |
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主幹が立たず、名前のとおり玉状になる性質ですが、これを刈り込み、 さらに美しい玉状に仕立てます。公園や庭園によく使われます。強い剪定をしたり、肥料が不足すると針葉が出やすくなるので注意が必要です。この種類で、葉が黄色くなる黄金玉伊吹(オウゴンタマイブキ)があります。 | 樹高50cmほどにとどまり、葉が針状で、葉は銀緑色をしています。園芸品種に斑入葉立柏槇(フイリバタチビャクシン)があります。 | ビャクシンの変種として取り扱われ、ミヤマビャクシンとも呼ばれます。岩壁地に生えるものを取り木してふやしたものが盆栽として使われています。 |
スカイロケット | 這柏槇(ハイビャクシン ) |
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幹は直立で枝も上向きなので、エンピツやロケット状のように長細く伸びます。高さは3~4mにもなりますが、枝幅は 30~40cmほどで収まります。 | 低く地面をはうような姿で伸びます。枝は上に伸びることはほぼありません庭の石組みや、 テラスの植込みに向きます。しかし、樹木なので芝生のように踏みつけることはできません。 |
カイヅカイブキのお手入れ
新梢が伸び出す4月下旬から生長期が終わる10月頃まで、こまめに指先で飛び出した新芽を回数に関係なく摘み取ると、葉色や樹形を美しく維持することができます。新芽をはさみで切ると、こまかく枯れたようになることがあります。これは、芽が鱗状になっているために起こります。はさみで切ると、鱗片の一部が残ってしまい、やがてそこが枯れてしまうからです。しかし、そこが落ちれば2カ月もするとまた元の緑色の鱗片に戻ります。刈り込みによる枯れは一時的なもので、さほど心配はありません。大きな木や量が多いとやはりはさみによる剪定になります。年2~3回しっかり剪定するとこがポイントです。古木や、長枝を切り戻す強剪定をすると、スギのような葉(杉葉) を出すものもあります。この現象を「先祖返り」といいます。こまめに剪定することによりこの先祖返りを回避し、カイヅカイブキらしい美しい鱗片葉を楽しめます。また、通風や日当たりがよくなり、茂りすぎなどによる蒸れから内部の小枝が枯れることも避けることができます。
カイヅカイブキの施肥
2月と8月下旬の2回、油かすに骨粉を2割まぜたもの、または粒状化成肥料を2~3握り施します。葉樹なので肥培は適当でいいです。
カイヅカイブキの植栽
下枝からきちんとあり、小枝が密生していて、根元の真っすぐな苗木を選びましょう。植えつけ時期は3~5月および9~12月が適期です。根のよいものであれば、7~8月の真夏と厳寒期を除けば可能です。植えつけ方は円錐形や円柱形、玉仕立てなどに仕立てる場合は、隣の株との間隔は十分にとって、日当たりと水はけのよい場所に植えるのがポイントです。植えつけ後、高く伸ばして 刈り込むものは支柱を取り付けておくと安心です。
カイヅカイブキの病害虫
イブキチビキガ・ハダニ・赤星病・カイガラムシに注意しましょう。イブキチビキガの幼虫が新葉にはいり、葉先を枯らします。発生期の5月~9月頃に殺菌、殺虫剤を散布して防除します。また、風通しが悪いとハダニ、赤星病などの被害があるので定期的な剪定が大切になります。カイガラムシの被害を防ぐには冬に注意深く観察することが大事です。
まとめ
ビャクシン類にはさび病があり、ナシの赤星病と宿主を交代させつつ生活していて、カイヅカイブキが中間宿主となることがあるので、地域によって植栽を禁止しているところがあるので注意しましょう。またカイヅカイブキはこまめに剪定していても大きく育つので植える前には育てるのに十分なスペースを確保し、こまめにお世話できるか検討してください。