古くから生垣や庭木として利用されているマキ(槇)の木。なかでも刈込みに強く、様ざまな形に仕立てて楽しむことができる「イヌマキ」は、和風庭園にも用いられ美しい樹形が魅力です。イヌマキの特徴やお手入れ方法をご紹介します。
仕立て方で楽しむイヌマキ
一年をとおして緑の葉をたたえる常緑性の針葉樹であるイヌマキ。針葉樹のなかでは、幅広で長い葉をもつことが特徴です。
萌芽力(ほうがりょく:芽吹く力)があり、刈り込みにも強いので、生垣として利用されるほか、玉状に剪定した葉のバランスが美しい「玉散らし」や、枝の一つを門の上に伸ばした「門かぶり」などの形に仕立てて楽しむことができます。
また、和風のイメージが強いマキですが、円筒形やアーチ状に剪定したり、文字や動物をかたどったトピアリーにしたり、お庭にあわせたデザインに仕立てれば、洋風のお庭にもよく映えます。
かわいい実は要注意!
イヌマキには雄株と雌株があり、それぞれ5月~6月に小さく目立たない花を付けます。雌株には10月ころ、串団子のように二つ連なった形の実が付き、成熟すると枝元の花托(カタク:被子植物の茎が厚くなった部分)が赤く色付きます。熟した花托は食べると甘い味がしますが、先端の種子(緑色または青色をしている)には嘔吐や下痢を引き起こす毒があり注意が必要です。
イヌマキのお手入れ
イヌマキは土質を選ばず、丈夫で日陰でも育てることができます。一方、芽吹く力が強いので、お手入れせず放任すると四方八方に枝葉が伸び、見栄えが悪くなります。そのため、年2回を目安に剪定して、樹形と大きさを管理するとよいでしょう。
お手入れは6月と9月~10月ころに、刈り込むよう剪定するのがおすすめです。仕立てを楽しむ庭木なので、これ以外の時期でも徒長枝が出て樹形が乱れたときは剪定可能ですが、寒さにはあまり強くないので、厳冬期の剪定はおすすめしません。
イヌマキには、「アブラムシ」や「カイガラムシ」が付くことがあります。これらの害虫は、株全体が黒ずみすすで覆われたようになる「すす病」を発症する原因にもなるので注意が必要です。いずれも、日当たりと風通しの悪い環境で発生しやすいため、剪定して予防することが有効です。万が一、害虫を見つけたときは速やかに取り除き、薬剤などで適切な処置しましょう。
好みの樹形に仕立て、一年をとおして緑を楽しめるイヌマキ。定期的なお手入れが、美しい樹形を保つことにつながります。
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•【Before&After】
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