淡い紫色の花を付けることで知られる「藤」。美しい花が房状に垂れる姿は優雅で趣があり、古くから日本人に愛されてきました。
藤の花
藤はつる性の落葉木で、4月~5月に花の見ごろを迎えます。多くの園芸品種があり、花の色や花序(かじょ:花を付けた茎または枝)の長さも様ざまです。 「藤色」という言葉があるように、花の色は淡い紫色のものが多いですが、白色の花を付ける「シロバナフジ」や淡紅色の「アケボノフジ」や「アカバナフジ」という品種もあります。
藤は、枝を棚に誘引して仕立てる(棚仕立て)ことも多く、「藤棚」として各地の庭園や公園でも多く見られ、棚からたくさんの花が垂れて咲く姿は圧巻です。
育て方
藤は日当たりを好み、成育が旺盛です。また、水を好む植物のため、とくに成育期の5月~8月は根回りを乾かさないように、水やりをしましょう。
マメ科の藤は、花後に細長く大きな「さや」を付けますが、さやをつくるとそちらに栄養が取られ、樹勢が弱くなります。そのため、花を楽しんだあとは花柄を小まめに取り除き、さやをつくらないようにします。花柄摘みは、枝元の部分2センチメートルくらいを残して、先を切り落とします。
また樹勢を整えるために、肥料を施すことをおすすめします。2月ころに寒肥(かんごえ/かんぴ)を、5月~6月に花後のお礼肥(おれいごえ)を施すとよいでしょう。
剪定お手入れ
藤は放任して枝が長く伸びると花芽が付きにくくなります。そのため、夏と冬の2回、定期的に剪定(せんてい)お手入れをしましょう。
夏の剪定は、5月~6月の花柄摘みとともに、枝(つる)の混み入っている部分を切り樹形を整えます。さらに7月初旬ころ、今年伸びた新梢を軽めに剪定して、枝がそれ以上伸びるのを防ぐことで、脇から伸びてくる短枝の発生を促します。短枝には翌年の花芽が付くので、翌年の花数を増やすことが期待できます。
冬の剪定は12月~2月ころに、樹形を整える目的で行います。冬期は木にとってダメージが少なく剪定できるだけでなく、落葉しているため枝ぶりを整えやすく、花芽を確認しながら剪定ができるというメリットがあります。大きさの管理や、枝数を整えて日当たりを確保するためにも、この時期の剪定は欠かせません。
お庭で育てて楽しむ
藤棚のイメージから、藤を育てるためには棚を作る十分なスペースが無いと難しいと感じてしまいますが、鉢植えでも育てることができます。鉢植えで育てるときは、成長に合わせて1~2年に一度は植え替えをするようにします。
棚が無くても、塀や柵に沿って這わせたり、高さを抑えるよう剪定し、生け垣のように仕立てて楽しむことができます。
樹齢がとても長いことから、めでたい植物ともされる藤。上手に育てて、美しい花を毎年楽しみましょう。
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