見た目がかわいらしく、果実はジュースや料理など幅広く活用できることから人気の果樹「レモン」。温暖な気候でないと栽培できないイメージがありますが、耐寒性のある品種もあり、お庭や鉢植えで育てることもできます。自宅でレモンを上手に育てて、収穫を楽しむためのポイントをご紹介します。
庭木におすすめの品種
一口にレモンといっても、様ざまな品種があり、栽培に適した気候や果実の風味が異なります。今回は、その中でも日本で庭木として育てるのにおすすめの品種をご紹介します。
■リスボン
レモンの主要品種の1つで、比較的寒さに強く、いちばん日本の気候に適しているといわれています。実り多く、酸味が強い、爽やかな香りの実を付けます。庭に地植えするときにはこの品種がおすすめです。
■ユーレカ
リスボンと並び、主要品種の1つで家庭園芸向きの品種。爽やかな酸味と香りがあります。リスボンと比較して樹勢は弱く、トゲは比較的少ないですが、耐寒性はやや弱めです。
■マイヤー
オレンジまたはマンダリンとレモンを掛け合わせた品種で、完熟すると果皮がオレンジ色になります。他の一般的な品種よりも酸味がマイルドで少ないのが特徴。耐寒性・耐暑性も比較的高く、育てやすいです。
■ビアフランカ
トゲの無い品種で育てやすいことが特徴。爽やかな酸味と香りがあります。耐寒性は弱いので温暖な地域での育成に向いています。
上記でご紹介した4種は、いずれも自家結実性があるので、1本で実をつけます。
レモンの育て方
レモンの植付けや植替えは3月~4月が適期です。日光を好むので、植える場所や鉢植えを置く場所は日当たりのよい所を選びましょう。
水やりについて、地植えではそこまで気を使わなくても大丈夫ですが、夏の日照りが続くときには土が乾きすぎないよう注意が必要です。鉢植えは、表面の土が乾いたら鉢底から水が出てくるまで、たっぷりと与えるようにしましょう。
収穫に向けたお手入れ
レモンは、順調に成育すると3~4年で果実が付くようになります。レモンの収穫期は、おもに10月~2月。一年をとおして実を付ける、四季成り性の強い選抜品種もありますが、いずれも冬に一番多くの実を付けます。
実の収穫を楽しむために、施肥(肥料)は重要なお手入れです。レモンは枝数が多く、四季成りのものでは年に何回も花を付けることから、他の果樹と比べて多くの養分を必要とします。そのため、年間を通し複数回に分けて肥料を与えるとよいです。
また、毎年2月末~3月に整枝のため剪定(せんてい)をしましょう。放任すると大木になりやすいため、上に勢いよく伸びる枝を剪定して、横に広がった樹形に整えると、管理がしやすく収穫も楽になります。果樹は害虫が付きやすいので、株の内側までしっかりと日が当たるように、剪定するとよいでしょう。
※レモンによくみられる病害虫
・かいよう病…果実や葉に斑点が発生しコルク状になる。
・黒点病…果実や葉に小さい斑点や褐色の汚れが発生する。
・そうか病…果実や葉にかさぶた上の傷が発生し、でこぼこになる。
・アゲハ蝶の幼虫…葉を食害し、葉が激減する。春から秋に数回発生する。見つけしだい取り除く。できれば卵のうちに除去したい厄介者。
・カイガラムシ…枝、葉、果皮に黒っぽい虫や白い繭などがこびりつく。見つけたら歯ブラシでこすり取る。
・ミカンハモグリガ…葉に白い線状の痕が発生。夏枝に発生しやすい。見つけたら葉を切り取るとよいが、気にしすぎる必要はない。
レモンの木にはトゲがあるので、剪定する時には注意が必要です。品種によってトゲが小さ目のものや、近年ではトゲがないものも生産されています。
レモンの実 おすすめ活用法
自分で育てたレモンは農薬の心配も無く、安心して果皮までそのまま、料理や飲み物に使用できます。皮付きのまま輪切りにして、はちみつに漬けこんだ“はちみつレモン”や、果汁を絞ったあとの皮をすりおろして、漬物やお菓子作りの香り付けとしてもおすすめです。
たくさん収穫できたときは、冷凍保存も可能です。輪切りにして1枚ずつ重ならないようラップに包んで冷凍しておくと、凍ったままミネラルウォーターやお酒に入れて、すぐに利用することができ便利です。
この他、絞り終わったレモンの皮は掃除にも活用できます。レモンに含まれる「クエン酸」はアルカリ性の汚れ(水アカや石鹸カス)に効果があります。また、皮に含まれる「リモネン」という精油成分は、油汚れを溶かしてくれる効果があるため、コンロ周りや電子レンジの汚れ落としに役立ちます。
香りもよく、料理からお掃除までたくさんの用途があるレモンの木がお庭に1本あると嬉しいですね。
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