彩りの少ない冬の庭に赤い実をつける「ナンテン(南天)」。小さくかわいらしい実を鈴なりに付ける姿が印象的ですが、梅雨時期には白色のかわいらしい花を咲かせます。縁起木としても知られるナンテンは玄関脇に植栽されていることも多く、古くから身近な庭木として親しまれてきました。
お手入れのポイント
ナンテンは芽吹く力(萌芽力:ほうがりょく)が強いので、生長するにしたがい根本からどんどんと枝が増えます。そのため放任すると枝葉が込み合って樹形が崩れるだけでなく、花付きも悪くなってしまいますので、剪定(せんてい)が欠かせません。
剪定方法は根本から、花芽の無い枝を選んで切るようにします。萌芽力が強いため、切り戻すとそこから新しい枝が出てきます。時期は一年を通して可能ですが、その年に実が付いた枝には数年、花や実が付かないことから、実を楽しんだ後すぐのタイミングで剪定すると、既に今年実を付けた枝とこれから花芽をつける枝を見分けやすいです。
ナンテンは梅雨時期に花を咲かせますが、雨が多いと受粉がすすまず実付きが悪くなることがあります。そのため昔から軒先など、少し雨を遮ることができる場所に植栽されることが多いようですが、雨が続くときには覆いを被せるなど雨を遮る工夫をするよいでしょう。
植栽場所は半日陰でも育ちますが、日当たりがよい場所で育てた方がより多くの花付きや実付きが期待できるでしょう。乾燥を嫌うので、日照りが続くときは適宜水やりをしましょう。
ナンテン豆知識
ナンテンは、「難(ナン)を転(テン)じて福となす」の語呂あわせから、厄災を除け、縁起のよい木とされてきました。そのため日本では昔から、お正月飾りに使われたり、ヒイラギとあわせて鬼門除けとして庭に植えられたりしています。
花言葉も「幾知に富む」「よい家庭」「福をなす」など縁起の良い意味の言葉が多いことから、慶事のお料理の添え物「かいしき」としてもよく使われます。
また、ナンテンの実や葉には薬効があることでも知られています。 初節句や七五三など、お祝いの席に出されるお赤飯にはよくナンテンの葉が添えられていますが、単なる飾りとしての役割だけでなく葉に含まれる成分に防腐効果があることも科学的に証明されています。
ナンテンは生薬としても用いられ、実は乾燥させたものを「南天実(なんてんじつ)」とよび咳止め作用が、葉は「南天葉(なんてんよう)」とよび健胃、解熱、鎮咳などの作用があると言われています。 ただし、ナンテンにはごく微量ですが毒性のある物質も含まれており、多量に摂取すると知覚や運動神経の麻痺を引き起こす危険性もありますので注意が必要です。自己判断で利用せず、専門家に相談して利用することをお勧めします。
身近に植えていれば、花や実を楽しめるだけでなく、お正月や慶事用の飾りとしても重宝するナンテン。定期的な剪定お手入れを行い、健やかな生長を促しましょう。
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