柑橘類のなかでも、ひときわよい香りで知られる「ユズ(柚子)」。自家結実性があるため一本の木で実をつけることができ、8月~12月まで楽しめる実は、香りのよい果皮をはじめ、果肉、種まですべて余すところなく利用することができます。
ユズの育て方
ユズは柑橘類の中では耐寒性が強く、日本の風土に合った育てやすい果樹です。一方で「桃栗3年、柿8年、ユズの大馬鹿18年」という言葉があるほど生長が遅いことでも知られ、種から育てて実が収穫できるようになるまでには十数年かかります。
半日陰でも育ちますが、日当たりがよく風通しのよい場所で育てた方が、より多くの花付きや結実を期待できるでしょう。ユズは上に向かって枝を伸ばす性質がありますが、上に伸びた枝には実が付きづらくなります。収穫を楽しむ目的であれば、麻ひもなどを使って枝を斜め下方へ向けて誘引し、横に広がった樹形になるように育てましょう。
結実し実が膨らみ始めたら、摘果(てきか:実を間引くこと)をすると実が大きく育つだけでなく、株が弱まるのを防ぐことが出来ます。めやすは葉100枚程度に対して、実を1つの割合で残すようにします。また、黄色く色づいた実を木につけたまま放置していると、株が弱まり翌年の花芽の形成に影響します。花の数が少なくなることで、翌年の実の収穫量が減ってしまう「隔年結果(かくねんけっか)」という現象を引き起こすので、実は付けたままにせず早めに収穫しましょう。
剪定お手入れ
剪定(せんてい)は実の収穫後3月~4月が適期となります。木の幹まで日の光が届き、風通しがよくなるように枝を間引きます。ユズの枝には鋭く長いトゲがありますので、剪定する際には十分気を付けましょう。
ユズは前年に伸びた枝に実を付けるので、実の付きが悪いときには10月頃、春に新しく伸びた枝と同じくらいの長さまで切り戻し剪定をするとよいでしょう。
果実を楽しむ
ユズの果実は、食用のほか、お風呂に入れたり、お掃除に使ったりと利用方法がたくさんあります。
冬至には欠かせない「ユズ湯」は、ユズの強い香りで邪気を払うとされていますが、この他にも肌荒れ改善、血行促進、冷え性改善、リラックス効果などが期待でき、普段からおすすめしたい活用方法です。
ユズ湯に使用した後の実は、水回りの掃除に再利用することもできます。お湯に浸かりやわらかくなった果皮で浴槽をこすると、果皮に含まれるクエン酸の働きで水垢や石けんカスなどの汚れを落としてくれます。
実は収穫する時期により、緑色の「青玉果」と黄色く熟した「成熟果」の2度楽しむことができます。酸味が強く爽やかな風味の青玉果は、ユズ胡椒やポン酢作りに適し、成熟果は鍋物や漬物に入れたり、ジャムやドレッシング、ゆず茶、ゆず塩作りなどに適しています。果皮、果肉ともに幅広い料理に利用できることに加え、ビタミンCが豊富に含まれているので抗酸化作用やアンチエイジング効果も期待できます。
また、種の表面を覆うゼリー状でぬめりのある部分には「ペクチン」という成分が多く含まれており、コレステロール値を下げたり、血糖値の上昇を抑制する効果があると言われています。
たくさんの効能を持つユズを生活に取り入れることで、心も体も芯から温めてほっかほかになりましょう。
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