植物を育てるうえで、必要不可欠な「水やり」。実は「水やり三年」という言葉があるほど奥深く、水の与えかたで植物の生育に大きな違いが出ることがあります。とくに夏季と冬季は水やりの方法や時間帯に注意が必要です。
水やりの効果
植物への水やりは、ただの水分補給だと思っていませんか?植物は根から水とともに酸素も取り込んで呼吸をしています。水やりをすることで、酸素を多く含んだ水を供給できるほか、土の中の古い空気を押し出し、新しい空気へ入れ替えることもできます。また気温の高い季節には、土そのものだけでなく株全体の温度を下げたり、肥料を行き渡らせるという働きもあります。
基本の水やり
水やりの基本は「回数は少なく、量は一度にたっぷりと、早朝に与える」ことです。ただし、季節や温度、生長度合いなどをみて時間帯や回数を調整することもあります。
夏の水やり
気温の高い日中の水やりは、根が蒸れて植物が弱ってしまう危険性があります。また葉にかかった水滴がレンズ代わりになり日光を集めると、葉が焼けてしまうこともあります。そのため日中の水やりはできるだけ避けて、早朝まだ涼しいうちにたっぷりと与えるようにしましょう。
ホースで直接水やりをするときは、朝でも初めに出る水が思いのほか熱くなっていることもあるので、よく確認してから与えましょう。鉢植えなど移動ができるものについては、もし日中にしおれているのを発見した場合、日陰に移動してたっぷりと水を与えてください。
夏の留守時の水やり
夏の水やりで悩むのが、お盆の帰省や旅行で家を留守にするときではないでしょうか。
庭に地植えされた植物は、植栽して1年以上のものなら数日は水分を保持できますが、コンテナや植木鉢などに植えられた植物は、水切れを起こし弱ってしまうことがあります。
対策法としては、市販の保水材、電動水やりシステム、給水器などを利用する方法があります。
保水材は、土に混ぜることで数日間水を蓄えておけるものです。電動水やりシステムは、タイマーがついているので家を空けるときだけでなく日常の水やりの助けにもなります。市販の給水器には、外出の日数に合わせた大きさや、デザイン性の高いものもあり、いずれも園芸用品店などで購入することができます。
またお金をかけずとも、給水器は手作りすることが出来ます。材料はバケツ(20リットルくらいのもの)とアクリル製の紐(長さ適宜)の2つ。まずは用意した紐にしっかりと水を吸わせたら、片側を水がたっぷり入ったバケツに入れます。紐のもう片方を植物の根の周りに撒くように設置すると、紐が自然にバケツの水を吸い上げて植物に給水することができます。
冬の水やり
気温が氷点下になることもある冬季は、地中の水分が凍結すると根を傷めてしまいます。とくに夜から朝方にかけて気温が下がるので、夕方以降の水やりは控えましょう。
また冬期は乾燥にも注意が必要です。晴天が続いたり、土が乾いているときには午前中にたっぷりと水やりをしましょう。
年に数回は葉水(はみず)を
水やりには植物の根もとに水を与える以外にも、葉に水をかける「葉水(はみず)」という方法もあります。
基本的に普段の水やりで葉に水をかけることはお勧めできませんが、年に数回葉水をすることで、葉からの蒸散作用を抑制して株全体の水分バランスを保つことができます。また、葉の表面から光合成や呼吸の妨げになるホコリや汚れが除去され、ハダニなどの害虫を予防する効果もあります。
花が咲いている植物に葉水をするときは、花に水がかかるとシミが出来てしまうことがあるので、できるだけ花には直接水をかけないように気をつけましましょう。