「七夕(たなばた)」といえば、願いごとを「短冊」にしたためて飾りますが、他にもいろんな飾りがあります。クリスマスツリーのように、笹や竹をつかってデコレーションをすれば、夏の風物詩はもっと楽しいものになります。
「五色の短冊」は何色?
童謡『たなばたさま』に登場する「五色の短冊」は何色を指すのでしょう。5つの色すべて答えられる人は少ないのではないでしょうか?一般的に、「緑(青)」「赤」「黄」「白」「紫(黒)」の5色とされています。5つの色は中国の五行説に由来し、それぞれ「仁・礼・信・義・智」の「五徳」の意味を当てはめた意味を持っています。それぞれの意味は次のとおりです。
- 「緑」・・・徳を積む・人間力を高める
- 「赤」・・・父母・祖先への感謝
- 「黄」・・・知人・友人を大切にする。信頼
- 「白」・・・義務や決まりを守る
- 「紫」・・・学業の向上
それぞれの色にそった願いを短冊に書くと願が届きやすいといわれています。
短冊以外の七夕飾り
七夕祭りなどで目にする笹には、短冊以外もたくさん装飾されていますよね。代表的なものをいくつかご紹介します。
織姫様(おりひめさま)が得意な裁縫の腕にあやかりたいと、裁縫や手工芸、技芸の上達を願って飾るのは「紙衣」。子どもが健康に育つようにと形代(かたしろ)として飾ることもあるようです。同じような意味を織糸を模した「吹き流し」も飾ります。
「巾着(きんちゃく)」を飾ることもあります。お金が貯まるように、節約や貯蓄、商売繁盛の願いをかけて飾ります。「網かざり(投網)」は、豊漁を願う飾りです。食べものに困らないように、幸せを絡めとるという意味も込められています。整理整頓の象徴として「屑籠(くずかご)」も飾ります。倹約と清潔にする心を育む願いが込められています。
他に長寿を願う「折鶴」や願いをつなげる意味を込めた「輪飾り」なども、代表的な七夕飾りです。
笹に飾る意味
「笹(ササ)」の葉には邪気を払う力があるとされ、ここに七夕飾りを装飾することで願いが守られるとされています。いっぽうで、実際の七夕では笹も使えば、「竹(タケ)」も使います。
植物学的な区分では、「笹」は「竹」の仲間ですが、生態が少し異なる植物です。茎(クキ)を包む鞘(サヤ)が剥がれず枯れるまで残るものが「笹」とされ、茎が鞘に包まれてタケノコ状に生えて成長にともない、基部からはずれてクキが裸になるものが「竹」されています。この2種の違いは大きさではありません。
ただし、「竹」の仲間であっても「笹」と呼ばれることも多く、同じものを指して「竹」とも、「笹」とも呼ぶことがあります。竹は七夕伝説が発祥した中国をはじめ、アジア各地に自生し、日本の竹はほとんどが中国原産といわれています。いっぽう「笹」は日本原産のものが多く、古来より親しまれてきた植物です。
そのため、とても似通った葉をもつ2つを厳格にわけるのではなく、「笹」と呼んだり、「竹」と呼んだりして七夕にも使われてきたようです。
かつては、川に流したり、庭で燃やしたりして天に願いが届くよう処分することが多かったようですが、現在は環境汚染の問題から、禁止されている地域も多く、伝統は変わりつつあります。
保管しておく場所があるなら、後日七夕飾りをもって神社へ行き、古いお守りやお札を回収して燃やす「お炊き上げ」で、飾りを炊き上げてもらう方法があります。どの神社でも対応できるわけではないので、お炊き上げをしてもらえるのか、どのような形で持ち込むかなどは、事前に各神社に問い合わせてみてください。
もっと手軽な方法は、ゴミに出すこと。塩やお酒をふりかけ、お浄めをしてから短冊は白い紙に包み、笹や竹は細かく切って処分することが多いようです。