日本で桜といえば「ソメイヨシノ」を誰もが思い浮かべるほど知名度ナンバーワンの桜。葉が開く前に花をつけ、一斉に咲き、散っていく。群生するソメイヨシノの開花時に、あたり一帯が桜色に染まる風景は美しく、その姿を目にした大半の人びとを魅了します。
「ソメイヨシノ」の歴史
「染井吉野(ソメイヨシノ)」の生育はとても早く、樹高は10~25メートル、樹冠の幅は8~20メートルほどに育ちます。根を張る強さはとても強く、土の浅い部分に太い根を広く張ります。寿命は60年ほどといわれていますが、樹齢100年を超えるソメイヨシノもあり、こまめなお手入れと植栽場所に好条件が揃っていることが木を長く健やかに保つ条件となります。
ソメイヨシノは江戸時代末期から明治初期に、染井村(現在の東京都豊島区駒込)の植木職人が品種改良して作られたとされています。種を作ることがほとんどなく、近年の遺伝子研究の結果「オオシマザクラ」や「エドヒガン」などに起源をもち、すべてのソメイヨシノが同じ遺伝子情報のクローンであることがわかっています。
末永く楽しむために
落葉樹であるソメイヨシノの剪定適期は、樹木の休眠期である12月~2月です。ただし、昔から「桜切るバカ梅切らぬバカ」といわれ、剪定にはきめ細かい配慮が欠かせません。太い枝を不用意に切ってしまうと、そこから菌が入り枯れてしまうこともあるため、鉛筆より太い枝を剪定する際は注意が必要です。
害虫がつきやすい樹木なので花後はとくに、「アメリカシロヒトリ」というケムシをはじめ、ドクガ、ムカデなどにも気をつけましょう。また、桜の木が腐食するとシロアリの住処になる場合が多いので、適切な剪定と消毒でしっかりと病害虫対策をしましょう。
第二次世界大戦後まもなく植えられたソメイヨシノは、そろそろ寿命が近いと昨今言われ始めていますが、末永く楽しみたいですね。綺麗だからと折ってしまわず、美しいソメイヨシノのありのままの姿を楽しみましょう。
ソメイヨシノの他にも日本には「八重桜」 「しだれ桜」 「オオシマザクラ(大島桜)」 「寒桜」など多彩な桜が植栽されています。
桜には原種9種、変種100種ほどあり、園芸品種は300種以上あるといわれています。
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