日本、朝鮮半島、中国に原生する落葉広葉の高木です。甘柿と渋柿に分けられますが、渋柿もシブを抜くとおいしく、干し柿にして食べられます。 日本では古くから栽培改良されており、品種は多く、1000種類以上とも言われています。そのほとんどは家庭果樹で、最も作りやすいおなじみの実のなる木です。
柿の特徴
柿の品種
柿のお手入れ
柿の植栽
柿の病気対策
柿の小ネタ系
まとめ
柿の特徴
甘柿の適地は、9月の平均気温が21~ 23度、10月の平均気温が15度以上を必要とします。九州などの暑い地は、渋柿は果皮が硬く、褐色班も多いものが目立ちます。ですので、暖地には甘柿が向きます。渋柿は適応性が広く、北海道、東北など関東以北の地域では、甘柿より渋柿がおススメです。カキは雌雄異花という特性を持っており、雌花と雄花があります。しかし、柿は受粉しなくても果実がなる性質(単為結果性)なので、1株だけでも実が生りますが、受粉用の木と一緒に植えたほうが実付きは良くなります。優良品種は雄花をもつ品種が限られています。品種をよく確かめ、ほしい品種の雌花のほか、雄花をもつ品種を2~3種の混植して栽培すると安定して収穫することができます。
柿の品種
代表的な品種には、富有(フユウ)と次郎(ジロウ)、甘百目(アマヒヤクメ)、 西村早生(ニシムラワセ)、平核無(ヒラタネナシ)、西条(サイジョウ)禅寺丸(ゼンジマル)、蜂屋(ハチヤ)などがあります。中国、四川省から導入された常緑性のトキワガキと落葉性のロウヤガキは、実なりがよいですが食用には向かず、庭木、鉢植え、盆栽などの観賞用になります。
富有(フユウ) | 次郎(ジロウ) | 甘百目(アマヒャクメ) |
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甘柿の代表種。肉質は密で軟らかく、上品な甘さが特徴です。熟期は10月下旬から11月上旬と晩生です。 | 生産量は富有より少なく、熟期も富有よりやや早くなります。果実は大きく、肉質で、 日もちのよい種類で、こちらも甘柿の代表種になります。 |
甘柿といえば「百目」と言われるくらい、昔から親しまれている品種です。樹勢が強く、実なりも良いので、家庭果樹向きです。しかし炭疽病に弱いという欠点もあります。他には、甲州百目(コウシュウヒャクメ)、大和百目(ヤマトヒャクメ)など、その他、多くの品種があります。 |
西村早生(ニシムラワセ) | 平核無(ヒラタネナシ) | 西条(サイジョウ) |
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形は平常ですが、実なりが多く、 熟期は9月の中旬~下旬です。 | 文字どおり種なしです。肉質もよく、寒さに強い渋ガキの最高級品になります。 | こちらも品質は優秀の渋柿で、熟期は10月中旬~下旬です。受粉樹として混植されることが多いです。 |
禅寺丸(ゼンジマル) | 蜂屋(ハチヤ) |
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実つきのよい甘柿で、雄花をよくつけるので授粉樹として重宝されています。 | 渋みのある大果で、干し柿に使われます。 |
柿のお手入れ
自然に樹形が整いますが、放任すると実がたくさんつきすぎて木が疲れ、翌年は実数がぐっと減る、隔年結果性(かくねんけつか)になります。実をつけるには摘果をじゅうぶんに行い、基本的には間引き剪定をおこないます。かなり空間をつくるように剪定しないと、枝や梢が混雑します。
芽は太く元気のよい枝の先端の2~3芽が花芽になり、翌年、そこから伸ばした枝のつけ根付近に開花し、結実します。上に向かって元気よく伸びる生長の早い徒長枝(とちょうし)には花芽はつくられません。ですので、その花芽のつかない徒長枝や込み合った部分や不要枝を切り落とすようにします。その年に伸びた徒長枝は緑色をしているのが特徴です。
ほかの枝の先を切ることは、花芽を落とすことになるので十分気を付けましょう。柿の剪定の時期は木が休眠に入る12月~2月です。しかし、この間引き剪定では木が大きくなるばかりなの で、何年かに一度は実をあきらめてバッサリと切り戻して仕立て直すことでコンパクトに納められます。
せっかく結実した実が収穫前に落ちてしまう原因は授粉が不完全だったか、もしくは、実が成りすぎることによる落果です。これが原因の落果は7月中旬ごろまでに終わります。 それ以降の落果はカキノヘタムシによる被害です。枝にへたが残るので、すぐに見分けがつけられます。
このヘタムシは5月下旬から 9月にかけての定期的な薬剤散布で防ぎましょう。7月中旬までに起こる生理落下は、質のよい実をつけるために必要なことなので心配はいりません。
植えつけ1年目は枝がわずかに伸びる程度なので、 施肥はほとんど必要ありません。2年目からは寒肥えとして、堆肥、油かす、骨粉などをまぜて施します。鉢植えは5月と8月下旬に追肥しておくといいでしょう。
柿の植栽
苗木は接ぎ口がしっかりして、細根が多く太い健全な苗を選びましょう。根の切り口が黄色ではなく、白いものを選ぶのがポイントです。植えつけ時期は11月下旬から2月のうちです。暖地では早めに植えるのを意識し、おそくとも12月までに。寒地では3月近くに 植えつけると失敗が少なくなります。 植え穴は深めに掘り、堆肥をよくまぜて高植えにします。細根は乾きやすく、根が乾くと傷むので、根を乾かさないように扱うことがコツです。植え付け後は地上部は半分くらいに切り詰め、支柱を立てます。
柿の病気対策
ヘタムシ、炭疽病、黒星病、の被害が見られます。柿の最大の敵はヘタムシです。このヘタムシは果実を食い荒らし、落果させます。発生期の8月上旬~9月上旬ごろに薬剤を散布するか、10月上旬ごろ幹にわらを巻いて、そのなかに害虫を集める方法があります
炭疽病は、梅雨期と9月に、枝と果実に発生します。こちらも4月下旬~6月下旬、7月〜9月中旬に薬剤を散布しておくと安心です。
柿の小ネタ系
柿の葉はビタミンCが豊富です。ビタミンCは副腎のはたらきを調整し、様々なストレスから守ってくれます。また、柿の葉に含まれるビタミンCは熱に強い〝プロビタミンC〟という種類ですので、柿の葉をお茶として頂くことができます。柔らかい柿の葉を選び、
きれいに洗って、水をよく切ったあと、風通しのよい反日陰で乾燥させます。カラカラに水分が抜けたら完成です。葉を急須などに入れて熱いお湯を注いで3分待てば出来上がりです。
まとめ
カキは「桃栗三年、柿八年…」と言われるように、育成から実が付くまでに時間を要する樹木ではありますが、日あたりがよい場所であれば育てやすく、果実も楽しめるのでシンボルツリーとしてもオススメです。